「連載って別にしたくない」

若い作家さんがそう言っていた。

わかる、しないほうが健康のためだ。

一度走り出すとなかなか降りられない。
隔週はギリギリ人間の形でいられかもしれないけど、
週刊連載って普通に死の宣告だ。

===


年始と夏に、某誌の謝恩パーティが毎年あって、
昨年それに参加したときのこと。

バトンの星のネームを見つけてくれた編集さんが
「週刊連載、どうだった?」と話しかけてくれた。
編集だって勝負の世界だ。
「自分が打ち出した作家が、
箸にも棒にもかからず帰ってきたというのに、
そんなに優しい顔で聞く?」
泣きそうだった。

「自分の無力さを味わう経験になりました。」

そのあと自分でも思いがけないことを言っていた。

「でもまたやりたいです。」

編集さんも少し驚いていた。

「どうして?」

「強い人がたくさんいるからです。」

少年漫画かと。
心の中でツッコんでしまったけど、本心だった。

その後、その編集さんは、結構すごい人で(笑)
締めの挨拶をするために、舞台に上がった。
そこで私との会話について話し始めたのだ。

『強い人がたくさんいるから。だからまたヤングジャンプでやりたい。』

大御所作家さんがいる前で、私の恥ずかしいセリフを披露されてしまい、
顔が真っ赤になった。
いや、ワインのせいだったかな?

これはやばいと、そそくさと帰ろうとしたところ、
原先生がこうお声がけくださった。

「戻っておいで本誌に。バトンで。」

===

「バトントワリングはね、
空間の競技なので、空間が描けなきゃいけなかったんですよ。
なのにね、人体デッサンからやり始めてる私が、
できるわけなかったんですよね。」
等等、言い訳をたくさん並べて、
もうバトンを描くことはないだろうと思っていた。いや、思っている。

だけどことあるごとに、その原先生のセリフが頭の中でこだまする。

そんなこと、できるんだろうか。できるわけない。
でも
できたら最高だな。

===

「連載って別にしたくない」

わかる。
だけど一度してみたらどうか。

選抜された世界で、
天下の大将軍に一太刀入れようとするための心の準備をはじめとして、
すごい早さで強くなれる。

と、ごちゃごちゃ言うのもどうなのかなと逡巡し、

黙って「うんうん」と頷いた。

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hikarujoe

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